アーティストブックに纏わるいくつかのクエスチョンを考える[3]

引き続き、質問群に対する回答を続けていきます、よ。


4. アーティスト・ブックでは無い本で、中身に読者が書き加える(破ったり、シールを貼ったりでもいい)要素があって、読者によって書き加えられた世界に一冊しかないその本は、アーティスト・ブック化してしまうのかしら? そうなると、写真を入れたアルバムは、それだけでアーティスト・ブック?

まず、

アーティスト・ブックでは無い本で、中身に読者が書き加える(破ったり、シールを貼ったりでもいい)要素があって、読者によって書き加えられた世界に一冊しかないその本は、アーティスト・ブック化してしまうのかしら?

という質問ですが、これはその読者(加工を施した人)がアーティストブックだとそれを名づけたなら、それはアーティストブックということだし、アーティスティックな意図、もしくは様式でその加工を行ったのならアーティストブックだと言えるでしょう。周囲から見てアーティストブックであると言える場合も、あると思うし、それはそれでアーティストブックと言えると思う。


また、

そうなると、写真を入れたアルバムは、それだけでアーティスト・ブック?

とありますが、アートを意識して撮られた写真が収録されているもの、もしくはアーティスティックな形式でアルバムに収録されたものであれば、それはアーティストブックである。と言えるでしょう。


5. サイン会で、特別なメッセージが入れてもらった一冊しかないその本はアーティスト・ブックになる?

これも同じこと。この特別なメッセージがアーティスティックであれば。


6. 図書館の本に、そのページを読んでもらうためにわざと派手なしおりを挟んで置き直したら、その時点でそれはアーティスト・ブック化するの?

これは若干難しい点もあるが、やはりアーティストブック。


7. 何かを隠すためにくりぬかれた本(スパイ映画で銃を隠したりしてるアレ)を、見えるようにわざと飾ったら、オブジェ?アーティスト・ブック?

これは、オブジェとアーティストブックの単語としての定義を追究する必要がある。前述したように、今私はアーティストブックの可能性を広げようと考えているので、この場合はオブジェでもありアーティストブックでもあると言いたい。


8. 本のページにドッグ・イヤー(しおり代わりにページの端を折る行為)をたくさんつけて、つけたものを続けて読むとある種のメッセージになるようにしたら、アーティスト・ブック化する?

それがアートを意識している/させる限り。これはアーティストブックでしょう。


9. 有名な暗号で、同じ本をお互いに持って、そのページ数と行数、桁数を数列にして、その数列を使って、メッセージを送ることが出来るというのがあるが、この2冊の本と、数列、そのメッセージで、その2冊はアーティスト・ブックになるの?

それがアートを意識している/させる限り。これもアーティストブックでしょう。


10. 電話帳に印をつけて、その番号に電話をしたら、あるメッセージが流れるようにしたら、それはアーティスト・ブック?

これはアーティストブック。
その番号に電話する行為、流れてくるメッセージまで全てを含めてアーティストブックと言えると私は考える。




はい。そろそろお気づきでしょうか。

結局、これらの質問のほとんどで問題となるのは、

それがアートを意識している/させているかどうか

ということであり、逆にその場合これらは全てアーティストブックと言えるというのが私の基本姿勢である。

正確に言うと、

アーティストブックという言葉の定義は、これらを含めるほど広げていいのではないか、もしくは、ここまでカバーする単語――それはアーティストブックとはちょっと違う、何か別の単語を作り出す必要があるのかもしれないけれど――が本とアートの現場では必要とされているのではないか、ということを私は今考えている。本をアートすること。その可能性を広げること。今はまだ足跡のついていない道を開拓していくのもなかなか楽しいかもしれないと思っているというわけなのだ。
[PR]
by midori_sakai | 2006-03-23 01:31 | 全般的なこと
<< 『モーニング娘。に教わるふつう... アーティストブックに纏わるいく... >>