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Books as ART <1991> [2]

再び読み進めている。

"Books as ART"
Boca Raton Museum of Art
p.10 by Alexandra Anderson-Spivy

" Any historical view of the development of the avantgarde in Europe and America cannot ignore the transition of the book from a container of information to an enormously adaptable art medium whose manifestations have proliferated globally in the last thirty years. What other art form is portable, almost infinitely flexible in format, susceptible to interdisciplinary collaboration, and amenable to multiple and mass production?"



「ヨーロッパとアメリカにおけるアヴァンギャルド運動の発展を歴史的観点から見るときに、情報を入れる器から、非常にアダプタブルなアートミディアムとして変遷を遂げた本というものを無視することはできなく、こういった本はここ30年間で世界的に数多く生まれている。他のどんなアートフォームが、このようにポータブルで、その形式がほぼ無限にフレクシブルであり、他分野のコラボレーションを受け入れやすく、そして複製や大量生産が可能だろうか?」



「ほぼ無限にフレクシブル」。
ブックアートの持つ面白さは、本来的にはここなんじゃないかと思っている。

それが「本」であると言い切れば、なんであれ、それは「本」になり得るのだ。


もちろん現在の日本の、そしておそらくは海外もそうは変わらない出版/流通事情の中では、そのフレクシブルさを有効に活用することは、意外と難しい。たとえばどんな書店だって予め「棚」というものが、そこを埋めるための本を待っているし、平積み用のスペースだって限られている。(平積みばかりだと場所ばっかり取って、点数は置けないですから。)けれどそれを「常識」として受け入れてしまっては、マイノリティはどんどん排除されるばかりだ。創り続けるべき人が、フレクシブルに創り続けるべきこと。注目すべき人が、フレクシブルに注目し続けること。そうやってどんどん面白い本が人の目に触れるようになり、既成概念が崩れていけばいいと思う。きっとブックアート界はそうやって発展してきたのだ。だっていまやそんなに驚かないけれど、バインドされていない(綴じられていない)本が最初にどこかの店頭に並んだときはきっと誰しもがこんなの本じゃない!って思ったに違いないし、そもそも店頭に並べるまでだって、店長を説得するのはタイヘンだったはず。だから止まらないこと。続けること。進み続けること。そんなことが、きっとこれからもブックアートの歴史をつくっていくのだと思うのだ。
by midori_sakai | 2006-03-09 17:42 | 全般的なこと
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