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アーティストブックに纏わるいくつかのクエスチョンを考える[2]

再び質問群より。


2. それとも、これは工芸品? ていうか、アーティスト・ブック以外は工芸品? アーティストブックと工芸品の違いは何?


よくある手で恐縮ですが、とりあえず「工芸品」を広辞苑で調べてみることに。


芸術的要素を含む工作物。美術意匠と技巧とによって美感を与えると同時に日常生活に役立つ物品を指している。 『広辞苑 第五版』(岩波書店) 



とのこと。

なるほど。


「日常生活に役立つ物品」かどうかが鍵だな。


つまり、
「日常生活に役立つアーティストブック」は、アーティストブックであり、工芸品でもあるけど、
「日常生活に役立たないアーティストブック」は、工芸品ではない、ということになる。

それだけのことではないでしょうか。

指し示すものの範囲としては、アーティストブックの語義が限定されていなく、可能性を持っているため(というか、その可能性を探求するためにつらつらと毎日書いているわけだけど)

アーティストブック>工芸品

という図式が成り立つのではないでしょうか。


ついでにもう1個。


3. ブックとアーティスト・ブックの違いは何?

これは難題。
けどまあ説明をとりあえずつけてみようと思う。


製作者がアートであるものを本にしたり、本をアートしたりしたもの全てをアーティストブックと呼ぶとする。

そうすると、それ以外のものは全部ただのブックなのではないでしょうか。



・・・と書いてはみたものの。

では、製作者はアートを意図してないとしても、受け手が、「これはアートだ!」と思った場合はどうなるのだろう。


私としては、これもアーティストブックの範疇に入れたいところ。
そうなると、ただの「ブック」というのは、以下のように定義できる。


「製作者がアートであるものを本にしたり、本自体をアート作品と意図して製作したものや、また、読者もそのものを見て、何らアートの要素を感じない場合」



だと思うのですが、どうでしょう。

でも、うーん、この件については、やっぱりちょっと保留かな。

言葉の定義は、帰納法的に考えていこうとするのが基本的にこのブログの根っこにあるもので、定義が先にあるものでないから。今すぐに答えは出ない方がいい気がするし、上記のように言い切ってみたものの、どうもこういうのは、私はうさんくさく感じてしまうのだ。少なくとも今は。
by midori_sakai | 2006-03-21 00:23 | 全般的なこと
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